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2025.02.11
犬の胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)は、犬の健康において特に注意が必要な疾患です。
これは胆嚢内に粘液が異常に蓄積されることによって引き起こされ、犬の消化器系に深刻な影響を与える可能性があります。
本記事では、犬の胆嚢粘液嚢腫の基本的な情報、症状、原因、診断方法、および治療法に関して詳しく解説します。
犬の胆嚢粘液嚢腫とは?
犬の胆嚢粘液嚢腫は、胆嚢内に粘性の高いムチンが蓄積する状態を指します。これにより胆嚢が拡張し、胆汁の正常な排出が妨げられることによって、犬の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。特に、症状が進行すると胆嚢破裂や腹膜炎といった重篤な合併症を引き起こすことがあります。
症状
犬の胆嚢粘液嚢腫によく見られる症状には以下があります:
* 食欲不振
* 元気消失
* 嘔吐や下痢
* 腹部の触診での痛み
また、進行することで黄疸が見られる場合もあり、これは皮膚や粘膜が黄色くなる症状です。
これらの症状は初期にはあまり目立たないことが多いので、定期的な健康診断が重要です。
原因
胆嚢粘液嚢腫の主な原因としては、以下が挙げられます:
* ホルモンの病気(副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症)
* 脂質異常症による高脂血症
これらの病態が胆汁の生成や排出に影響を与え、最終的に胆嚢粘液嚢腫を引き起こします。
診断方法
胆嚢粘液嚢腫の診断では、腹部の超音波検査が重要です。
特に、「キウイフルーツ様」と呼ばれる特徴的なエコー像が診断を助けます。
また、血液検査によって肝酵素やコレステロールの上昇が認められることもあります。
治療法
治療方法は犬の症状や状態に応じて異なりますが、場合によっては外科手術が必要になることがあります。
特に、胆嚢破裂のリスクが高い場合や、症状が進行している犬に対しては、早期に手術を行うことが推奨されます。
まとめ
犬の胆嚢粘液嚢腫は、早期発見と適切な治療が求められる重要な疾患です。
愛犬の健康を守るためには、定期的な健康診断を受け、上記の症状に注意を払うことが重要です。
そして、症状が認められていない段階において、腹腔鏡下での胆嚢摘出術を行なってあげることが推奨されます。
また、症状が認められた段階においても、腹腔鏡下での胆嚢摘出術によって治療することも可能です。
具体的な疑問や心配がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
腹腔鏡下胆嚢摘出術を行なった直後の切開創(きず)の様子です。
病態の進行度によって個体差はありますが、最小限の切開創(きず)で手術を行うことが可能です。