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犬と猫の「避妊手術」を腹腔鏡手術で行う利点とは?(”はなちゃん”の手術直後の元気な動画をご紹介)

2024.02.15

犬と猫の避妊手術は、不妊化や健康維持のために行われる重要な処置です。

特に、高齢になるにつれて起こりやすい乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、卵巣腫瘍などは、避妊手術によって発情を無くすることで、その発生を予防することが出来ます。
ただし、乳腺腫瘍は、初めての発情前に避妊手術を受けることが良いとされており、発情を迎える(むかえる)とによってそのリスクは高まります。

犬と猫の避妊手術を腹腔鏡下で行うことによって、痛みが少なく、合併症のリスクも低くなります。

以下に、腹腔鏡による避妊手術の特徴を箇条書きにしました。
1. 痛みが少ない
  * 腹腔鏡は”小さな切開”で行われるため、切開創からの痛みが軽減されます。
  * 一つの切開は、3〜5mm程度で、2 or 3カ所です。
  * お腹の中の脂肪の量が多くなれば、卵巣子宮を取り出す切開創も大きくなります(1〜2cm程度)。
  * 腹腔鏡手術は、卵巣や子宮を強く牽引する(引っ張る)ことが軽減されるために痛みを防ぐことが可能です。
2. 合併症が少ない
  * 従来の開腹手術に比べ、切開創が小さく、感染や出血のリスクが低くなります。
  * お腹の中を拡大された鮮明な視野で観察することが可能です。
  * そのため、術後の出血、卵巣の取り残し、尿管損傷などの生命に関わる合併症の発生率を低下させます。
  * お腹の中の臓器を外気に暴露しないことから、消化管の働きが温存され、食欲の早期回復が期待出来ます。
3. 費用
  * 高度な技術が必要なため、腹腔鏡を用いた手術は若干高額となることがあります。
  * しかし、短期間での回復が期待できるため、総合的には経済的といえます。
  * 基本的には、日帰り手術が可能ですので、病院で怖い思いをさせずに、入院費用を削減することが可能です。

腹腔鏡による避妊手術は、犬猫の健康と安全を考慮した費用対効果の高い選択肢となります。
しかし、豊富な手術の知識や経験が必要ですので、熟練した技術を持った獣医師による執刀が望ましいです。

動画は、腹腔鏡下での避妊手術を受けた2時間後の”はなちゃん”の様子です。
もちろん個体差はありますが、研究報告によっても、手術後の活動性は開腹手術に比較して明らかに高いことが証明されています。

手術実施病院:おおた動物病院(埼玉県おおみや市大宮区)
手術内容:腹腔鏡下卵巣子宮摘出術(避妊手術)

文責:江原郁也
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