犬の肝臓腫瘍についてきずの小さな腹腔鏡手術のご提案

犬の肝臓腫瘍について

犬の肝臓腫瘍について

犬の肝臓腫瘍には、幾つかのタイプがありますが、外科手術によって治療効果が期待できるものとして、悪性腫瘍の肝臓癌、良性腫瘍の肝細胞腺腫、結節性過形成があります。これらの腫瘍は、犬の肝臓腫瘍の約80%を占めていますが、適切な外科的切除を行えば、良好な治療効果を期待することが可能となります。

肝臓腫瘍に対する手術の難易度は、肝臓腫瘍の発生部位、大きさ、病態によって異なりますが、一般的には右肝区域と中央肝区域とに発生した肝臓腫瘍に対する外科的切除は最も難しいとされています。それに対して、左肝区域に発生した肝臓腫瘍に対しては、後大静脈から距離があることから、肝臓腫瘍は摘出しやすいと考えられます。そして、肝葉の辺縁部に発生している肝臓腫瘍は安全に切除できますが、肝葉の肝門部と言われる基部に発生した肝臓腫瘍に対する摘出の難易度は高くなります。

そのために、術前にはCT検査を行い、肝臓腫瘍の発生部位や大きさ、脈管浸潤の有無などを精査し、手術をどのように行うことが適切かを判断します。

現在、犬の肝臓腫瘍に対する外科的手術は、お腹を大きく切開して行う開腹手術が一般的に行われています。もちろん、気づいた時には、肝臓腫瘍が巨大化しており開腹手術でしか切除できないケースも少なくはありません。

犬の肝臓腫瘍に対する腹腔鏡下肝切除術について

犬の肝臓腫瘍に対する腹腔鏡下肝切除術についての報告は極めて稀であり、ステープラー(自動縫合機)を使用した左肝区域に発生した肝臓腫瘍に対する肝切除術が1報のみ報告されています。また、実験的な報告としても、肝門部を一括結紮した左肝区域に発生した肝臓腫瘍に対する肝切除術が報告されているのみであり、難易度が高い中央肝区域と右肝区域に発生した肝臓腫瘍に対する外科的切除は報告されていません。

そこで、私たちは人医療における定型化されたGlissonean pedicle approachを用いた腹腔鏡下肝葉切除術を行うことにより、難易度が高いとされている右肝区域と中央肝区域に発生した肝臓腫瘍に対する外科的切除を行ない、良好な成績を得ることができました。まだまだ始まったばかりですが、人医療の肝臓外科領域のトップクラスの外科医の指導の下、安全、確実な腹腔鏡下肝葉切除術を行なっています。

犬の肝臓腫瘍に対する腹腔鏡下肝葉切除術を行うことにより、何より切開創が小さいことから痛みが少なく、お腹の中の臓器を外気に暴露することがないことから消化管機能の温存がはかられることが推察され、手術の翌日には食欲もあり、平均入院日数は平均3日間となる程、術後の早期回復が期待できるようになりました。

犬の肝臓腫瘍

写真提供:杉本真樹先生(帝京大学冲永総合研究所 Innovation Lab教授、Holoeyes株式会社CEO)のご厚意による

腹腔鏡下肝切除術のメリット

・小さな切開創での手術が可能です。
・拡大された鮮明な視野を確保し、繊細な手術操作が可能です。
・肝門部領域へのアプローチに優れています。
・狭い術野での手術操作が可能となります。
・フレキシブルな肝実質切離ラインでの肝切除が可能です。
・肝門部に近接した肝臓腫瘍に対して適応できる可能性が拡大します。
・右肝区域、中央肝区域、左肝区域に対して適応できる可能性が拡大します。
・小型動物に対しても適応できる可能性が拡大します。
・消化管を外気に暴露することが最小限となり消化管機能の温存が期待できます。

腹腔鏡下肝切除術のデメリット

・手術時間が延長しやすくなります。
・内視鏡手術専用鉗子を用いることにより、正常な肝実質や肝臓腫瘍の損傷による不用意な出血や腫瘍細胞の播種を引き起こす危険性が増大します。
・主要血管の損傷を引き起こした場合、出血への対応が困難となります。
・しかし、慎重に丁寧な手術操作を行うことにより、不用意な出血や腫瘍細胞の播種を引き起こすことを回避し、安全かつ確実に手術を完遂することが可能と考えます。

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