横隔膜ヘルニア整復術

横隔膜ヘルニア整復術

横隔膜ヘルニアは、横隔膜と呼ばれる筋肉と膜で形成された仕切りに穴が空いた状態になり、内臓器官が本来あるべき場所から異常な場所に移動してしまう状態を指します。犬と猫の場合、横隔膜ヘルニアは通常胸腔(胸部)と腹腔(腹部)の間に位置する横隔膜の弱点や穴を通じて、腹部から胸部へ内臓器が移動する状態を指します。主な種類としては次の2つがあります。

横隔膜ヒアタルヘルニア(膈ヘルニア)

このタイプのヘルニアでは、胃や腸などの腹部内臓器が横隔膜の弱点を通じて胸部に移動します。これにより、胸部内で内臓器が圧迫される可能性があり、心臓や肺への影響が出ることがあります。

腹腔ヘルニア(横隔膜ヘルニア以外の腹腔内のヘルニア)

このタイプでは、腹部内の他の臓器が横隔膜を通じて胸部に移動します。例えば、肝臓や腎臓が関与することがあります。

犬や猫において横隔膜ヘルニアは、先天的(生まれつきの)ものと後天的(後から起こる)ものの両方が存在します。症状はヘルニアの種類や重症度によって異なりますが、呼吸困難、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、異常な姿勢などが見られることがあります。診断や治療は獣医師の専門的な診察と指導が必要です。軽度なケースでは症状の経過観察や食事の調整などが行われることもありますが、重度の場合は手術が必要なことがあ

腹腔鏡下横隔膜ヘルニア整復術のメリット

非侵襲的な手術

腹腔鏡下手術は開腹手術よりも小さな切開で手術が可能です。これにより、ペットの身体に与える負担が軽減され、痛みや回復期間が短縮される可能性があります。

少ない痛みと不快感

小さな切開で済むため、手術後の痛みや不快感が軽減されることがあります。これにより、ペットが手術後も快適に過ごしやすくなります。

迅速な回復

腹腔鏡手術は開腹手術に比べて回復期間が短いことが多いです。ペットが通常の日常活動に早く戻ることが期待されます。

視覚的確認

腹腔鏡を使用することで、獣医師は内部の様子をリアルタイムでモニターできます。これにより、手術中に問題を早期に発見し対処することができます。

デメリット

専門知識と装備が必要

腹腔鏡手術は専門的な知識と特別な装備が必要です。手術を行う獣医師は適切な訓練と経験を持っている必要があります。

適応症の制限

すべての犬や猫に対して腹腔鏡手術が適しているわけではありません。状態やヘルニアの種類、重症度によっては、開腹手術が必要な場合もあります。

合併症のリスク

どの手術にも合併症のリスクが伴います。腹腔鏡手術でも、感染症や出血などの合併症が発生する可能性があります。

横隔膜ヘルニア整復術
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