心膜切除術

心膜切除術

胸腔鏡下心膜切除術は、犬の心タンポナーデ(心膜貯留液による心臓の圧迫)の治療法の一つで、5mmの切開(3箇所)で手術を行うことが可能で、動物の病態にもよりますが、手術時間は1時間ほどです。

「心タンポナーデ」は、犬の心臓に関する重要な医療状態です。犬の心臓は、正しく血液を送り出すために一連の動きを行います。心タンポナーデとは、心膜という袋に異常な量の液体がたまり、心臓が正しく拡張および収縮できなくなる状態を指します。具体的には、心タンポナーデが発生すると、心臓が拡張する際に心膜内の液体の圧力が増加し、心臓の正常な機能が妨げられます。これにより、適切な量の血液を体に送り出すことが難しくなります。犬が心タンポナーデを発症すると、以下のような症状が現れる可能性があります

呼吸困難

心臓の機能が悪化すると、肺に十分な酸素が行き渡らず、呼吸が困難になることがあります。

咳やゼーゼー音

心臓の負担が増加することで、咳やゼーゼー音が聞こえることがあります。

脱力や無気力

犬が元気がなく、一般的な活動を避けるような様子を見せることがあります。

腹部膨満

心臓の負担が増えると、腹部に液体がたまることで膨満感が生じることがあります。

心タンポナーデは緊急を要する医療状態であり、早急な治療が必要です。症状が現れた場合は、すぐに獣医師に連絡し、専門家の指導に従って適切な対処を行うようにしましょう。診断と治療は専門的な医療知識が必要ですが、飼い主としては犬の健康を守るために素早い行動が重要です。

胸腔鏡下心膜切除術のメリット

小さな傷で負担の少ない手術

胸腔鏡下心膜切除術は、開胸手術に比べて非常に非侵襲的な方法です。小さな切開を通じて内視鏡を挿入し、心膜の切除を行うため、手術に伴う負担や痛みが少ないことがあります。

早期回復

開胸手術に比べて手術後の回復が比較的早い場合があります。切開が小さいため、傷口の癒しも速く、犬が通常の生活に戻るのが早いことがあります。

視覚的評価

内視鏡を使用するため、手術中に心臓と心膜を詳細に観察できる利点があります。これにより、正確な診断と手術が行いやすくなります。

デメリット

専門的な技術が必要

胸腔鏡下心膜切除術は、獣医師に専門的な訓練と技術が必要です。手術中に心臓や大血管を傷つけないよう慎重に操作する必要があります。

制限された応用範囲

すべての状況に適用できるわけではありません。心膜の位置や状態によっては、胸腔鏡下手術が適切でない場合もあります。

合併症のリスク

どんな手術にも合併症のリスクが伴います。心臓や大血管への損傷、感染症、出血などのリスクが考えられます。

心膜切除術
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