不妊手術

不妊手術

不妊手術

オスの犬や猫の去勢手術、メスの犬や猫の避妊手術を合わせて不妊手術といいます。
飼い主様も十人十色で、考え方には賛否両論ありますが、不妊手術には獣医学上、様々なメリットが存在します。
代表的なメリットとして、①病気の予防、②望まない子犬・子猫の出産を防止、③発情に関しての出血や性的ストレスの軽減ができます。

予防できる主な病気

・卵巣の病気の予防(卵巣嚢腫、卵巣腫瘍)
・子宮の病気の予防(子宮蓄膿症、子宮平滑筋腫)
・乳腺の病気の予防(乳腺腫瘍(良性腫瘍、乳がん))
・ホルモンに関係する病気の予防(糖尿病の悪化、発情中の免疫力の低下)
・皮膚病に関する病気の予防(発情中には皮膚炎が悪化することがあります。)

子宮蓄膿症とは?

避妊手術を行わず、出産経験もない高齢のメス犬に発症しやすい病気です。細菌感染によって子宮内に膿が溜まり、放置すると多臓器不全を引き起こす場合があります。本来であれば、子宮内に細菌が侵入すると排除する働きをしますが、高齢のメス犬は免疫のバランスが崩れ、細菌感染を引き起こしてしまいます。避妊手術は望まない妊娠を防ぐだけでなく、子宮蓄膿症を発症させない予防医療としても有効です。

腹腔鏡の避妊手術

開腹手術による避妊手術

ほとんどの動物病院で実施される避妊手術は、開腹手術による避妊手術です。
代表的な流れとしては、おへその下から下腹部にかけて15~20cmの切開を加えて、卵巣・子宮を体外に引っ張り出し、体の外で卵巣の血管、子宮の処理を行います。
それらの処置が終わると、ガーゼなどを用いてお腹の中で出血が無いかを確認し、切開したお腹を筋肉層と皮下織、皮膚と縫合し手術は完了です。10日程で抜糸を行います。

腹腔鏡手術による避妊手術

まずは3mm、5mmといった小さな傷(穴)から気腹という炭酸ガスでお腹を風船のように膨らませる処置を行い、トロッカーを挿入していきます。
設置したトロッカーから3mmや5mmといった細い内視鏡や手術用鉗子をお腹の中に挿入し、卵巣や子宮周囲の処理を行います。
血管の処理に関しては、超音波凝固切開装置(超音波メス)を用いて行います。
そして、処理された卵巣・子宮を体外に取り出し、体外で子宮の処理を行います。
最後に、内視鏡を用いてお腹の中を再度観察し、止血の確認を確実に行い、小さな傷(穴)の縫合をして手術は完了です。7日程で抜糸を行います。

当チームでは、2003年から6,000例におよぶ胸腔鏡や腹腔鏡手術を行っています。
腹腔鏡による避妊手術の手術時間は15~20分程で安全かつ確実に行うことができます。

腹腔鏡で避妊手術を行うメリット

①傷が小さいことから痛みが少なく、動物の回復が早い。
②手術時にお腹の中を鮮明な画像で見ながら手術ができる。
③止血の確認が確実に行えることから開腹手術より安全性が高い。
④開腹しなければ出来なかった検査、手術を小さな傷で同時に行うことができる。

©CHAM動物内視鏡外科ネットワーク