膀胱結石摘出術

膀胱結石摘出術

犬と猫の腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術は、1cm程度の小さな傷で手術を行い、膀胱結石を体外に摘出することが可能です。それにより、病状の程度にもよりますが、膀胱や尿道の炎症が軽度であれば手術当日~手術翌日に退院することもできます。膀胱や尿道の中を内視鏡で鮮明に見ながら、小さな結石まで取り除くことが可能で、最小限の負担で手術を行うことができます。

犬と猫の膀胱結石(ぼうこうけっせき)は、尿路系に形成される固まった結晶や鉱物の集まりです。これは、尿中の成分が過剰に凝縮されることによって発生します。膀胱結石は、尿路の一部に詰まりを引き起こす可能性があり、痛みや尿路の損傷を引き起こすことがあります。

犬と猫の膀胱結石にはいくつかの種類があり、主な種類には次のようなものがあります。

ストラバイト結石(マグネシウムアンモニウムリン酸塩結石)

主に尿路感染症によって形成されることが多いです。尿路感染症によってアンモニアが生成され、それが尿中のリン酸塩と結合して結石が形成されます。

シュウ酸カルシウム結石

オキサレートやリン酸カルシウムの結晶から成る結石です。尿中のカルシウム濃度が高い場合に形成されることがあります。

尿酸結石

尿中の尿酸が過剰に排泄されることで形成されることがあります。これは、肉食性の動物に多く見られることがあります。

膀胱結石は動物に不快感や痛みを引き起こすことがあり、尿路の詰まりや感染症のリスクを増加させる可能性があります。症状には、頻尿、排尿時の苦痛、血尿、尿意を催すが尿が出ないなどが含まれます。

診断は、症状の観察、尿検査、X線、超音波などの画像検査を通じて行われます。治療法は結石の種類や大きさ、獣医師の評価に基づいて決定されます。小さな結石の場合、特定の食事療法や水分摂取の増加によって排除されることがあります。大きな結石、不溶性の結石の場合には、外科的な摘出が必要なことがあります。犬や猫の健康を維持するためには、適切な栄養管理や水分摂取、定期的な獣医師の健康チェックが重要です。

腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術のメリット

非侵襲的な手術

腹腔鏡手術は、開腹手術と比較してより非侵襲的です。小さな切開を通じて内視鏡を挿入し、内部の組織や臓器を観察・処置することができます。

少ない痛みと腫脹

小さな切開と内視鏡の使用により、痛みや腫脹が少ない場合があります。これは動物の快適性を向上させる助けとなります。

短い入院期間

腹腔鏡手術は通常、開腹手術よりも短い入院期間が必要とされることがあります。これにより、動物ができるだけ早く家に帰ることができます。

優れた視覚化

内視鏡を使用することで、外科医は高品質な視覚化を得ることができます。これにより、結石の正確な位置や大きさを評価し、より精密な手術が可能となります。

デメリット

熟練した技術が必要

質の高い手術を行うには、熟練した技術が必要です。初期の段階では手術時間が長くかかり、膀胱結石の取り残しリスクも増える可能性があります。

一部のケースに適さない

腹腔鏡手術はすべての状況に適しているわけではありません。結石の大きさや位置、獣医師の判断によっては、開腹手術が適切な場合もあります。総じて言えることは、腹腔鏡手術は特定のケースにおいては有益な選択肢である一方、適切な設備と経験を持つ獣医師によって行われるべきであるということです。

膀胱結石摘出術
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