肺葉切除・部分切除術

肺葉切除・部分切除術

犬と猫の肺には様々な病気や状態が存在し、これらの中には手術が必要となる場合があります。以下に、犬と猫の肺に関連する病気で手術が必要な場合の一般的な例をいくつか挙げてみます。

肺腫瘍

肺に腫瘍ができた場合、その腫瘍が良性である場合でも、悪性である場合でも、手術が必要なことがあります。腫瘍が小さく、早期に発見されれば、肺腫瘍を取り除く手術が行われることがあります。これにより、腫瘍の進行を抑えることが期待されます。

肺気腫

肺の中に風船のように空気が溜まり、それに穴が開くことによって空気が胸腔内に漏れ出てくることにより、気胸を起こすことがあり、呼吸困難を引き起こします。そのような肺葉をシールしたり、切除することにより正常な呼吸に戻してあげることが期待できます。

肺膿瘍

肺に感染が広がり、膿がたまる肺膿瘍が生じることがあります。重症な場合、手術によって膿瘍を取り除くことが行われることがあります。この手術により、感染の拡大や全身状態の悪化を防ぐことが狙いです。

先天的異常

一部の犬は肺の先天的異常を持って生まれることがあります。例えば、奇形や血管の異常などが該当します。これらの異常が呼吸や血液循環に影響を与える場合、手術によって修復や症状の緩和を図ることが考えられます。

肺嚢胞

肺に液体がたまる袋状の嚢胞ができることがあります。これにより、肺の機能が低下したり、症状が出る場合があります。手術によって嚢胞を排除することが行われ、肺の健康を保つことが狙いです。

外傷や損傷

事故や外傷によって肺に損傷が生じることがあります。重症な場合、損傷部位を修復するための手術が行われることがあります。これによって肺の機能の回復や症状の緩和を図ることが目的です。

これらの状態は一般的な例であり、実際の症例にはさまざまな要因が影響します。犬と猫の状態に応じて、獣医師が適切な治療法を提案し、必要に応じて手術を勧めることがあります。胸腔鏡下肺葉切除術は、犬の肺の一部(葉)を取り除く手術の一種です。この手術は、肺の葉に腫瘍や病変がある場合、それを摘出するために行われます。

胸腔鏡下肺葉切除術のメリット

低侵襲治療

胸腔鏡下肺切除術は、従来の開胸手術に比べて侵襲度が低く、小さな切開で行われるため、犬や猫の身体への負担が少なく、痛みやストレスが軽減されます。

短期間の回復

従来の手術に比べて回復期間が短くなることがあります。傷口が小さく、組織の損傷が少ないため、犬が通常の活動に早く復帰できることが期待されます。

少ない合併症のリスク

小さな切開で手術が行われるため、感染症や出血、傷口の問題などの合併症のリスクが減少する可能性があります。

デメリット

専門知識と技術の要求

胸腔鏡下手術は専門的な知識と熟練した技術を要する手術です。手術を行う獣医師が経験豊富であることが重要です。

制限された視野

胸腔鏡を用いた手術では、手術フィールドがカメラの視野に制限されるため、手術部位の全体像を見ることが難しい場合があります。

症例による制約

胸腔鏡手術は、すべての症例に適しているわけではありません。複雑な症例や腫瘍の大きさによっては、開胸手術の方が適している場合もあります。

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