肺の原発性腫瘍はほとんどが癌で一般的なものは肺腺癌といわれています。ほとんどの原発性肺腫瘍は孤立性ですが、犬でまれにびまん性のものも報告されています。
基本的には無徴候性で偶発的に発見されることが多いです。症状が出る場合は、乾いた咳が最も多いとされています。また、肺腫瘍が転移した症例では骨形成に異常が見られるえため、犬では肥大性骨症、猫では肺指症候群による跛行が認められることもあります。
腫瘍が5cm以下の孤立性で転移や胸膜炎が確認されていない症例では、外科的切除により1年以上の長期予後が50%以上の症例で期待できるとしている文献もあります。
肺は肺胞というとても小さな風船のような組織が集まって一つの大きな組織として機能しています。肺を形作っている肺胞と肺胞の間の壁が壊れると、一つの大きな袋のような状態になります。こうした潰れた肺胞が集まった状態を肺気腫といいます。
肺気腫になると徐々に周囲の肺胞が壊されて肺胞の数が減っていき、肺がスカスカの状態になります。この状態が悪化していくと肺でのガス交換がうまくいかなくなるだけでなく、脆くなった組織に穴があいて次項に記載する気胸の原因となることがあります。
治療方法は外科手術による肺気腫部分の摘出となります。
胸腔内に空気やガスが貯留した状態のことです。
外傷性に胸壁を損傷した部位からの流入や、肺や気管支などの呼吸器、胸腔内に存在している食道が損傷することによって、それぞれの箇所から空気やガスが流入してくることが原因とされています。
症状としては主に呼吸器症状(呼吸促拍など)が見られるほかに、気胸の原因となった疾患に付随する症状が見られます。
肺はいくつかの区分に分かれていてそれぞれを一つの肺葉と呼びます。肺葉捻転はその肺葉の茎部(根元の部分)を中心として、気管支や血管とともに捻転する病気です。捻転した肺葉は静脈の血流を著しく阻害され、うっ血してしまい壊死してしまうような病気です。
症状は徐々に、あるいは急性に見られる呼吸困難や元気消失、発熱、嘔吐や吐き気などが見られます。
基本治療は外科手術による捻転している肺葉の切除となり、胸腔鏡を用いて実施することによってより負担の少ない手術が期待できます。
①傷が小さいことから痛みが少なく、動物の回復が早い。
②胸腔内の炎症の度合いや肺の状態を鮮明な視野で確認し細やかな手術を行うことができる。